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Flower of life

映画をよく観てます

感想:「この世界の片隅に」★★★★★

 

 

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    ずっと観たくて、でも公開している映画館がひとつしかなくそこはわたしの家から遠いので、なかなか行けずに年を越してしまいました。遠くて面倒という気持ちと、これだけ評判がよければまだ長くやっているだろうし、公開館数も増えてわたしのよく行く映画館でもきっと上映してくれるはず〜、と、希望的観測とともにだらだらしていると、本当にわたしの家から二駅の映画館が短期間ながらも上映をしてくれました!ありがとう!

    お父さんがクリスマスプレゼントと言ってくれたそこの映画館券を持って、寒いなかひとりで日曜日の夜に行ったのですが、年配の方でけっこう埋まってました。若い人は全然いなくて、家族連れで来ているお子様がいたくらい。端っこの席をとって着席。上映中は思わず嗚咽が漏れそうなほど号泣してしまいましたので、やっぱりこういう映画はひとりで観にくるに限るし、端っこの席に限る、と思いながらおいおい泣きました。

    あと日曜日の夜というハッピーな気分も相まって、以前飲んで懲りたはずの白桃ピューレソーダを頼んでしまいましたよ。おいしいんだよね〜高いしトイレ行きたくなるけど。 

 

 

    とにかく、すずちゃんかわいい!というか出てくる人みんなかわいい。戦時中という苦しい暮らしのなかでやりくりしながらも楽しく暮らしているのが、とても良かった。ずっと彼らの生活を観ていたくなる。すずちゃんのこれからの人生をもっと観ていたくなる。戦時中なのにあんなにも笑顔のある暮らしをしていて、だからきっとどれだけこれからも苦しいことがあろうとも、笑顔のある暮らしが続いていくんだろうな…。

    戦時中の話とは思えないくらいに前半は笑えるし、後半だんだんつらい局面を迎えていっても、笑顔のあるすずちゃんたちの暮らしは、わたしに原作漫画を読む決意をさせたのでした。がんばって読むぞ…。映画も話についていくので精一杯なくらいハイスピードで進んでいくので、もう一回観たい気持ちも山のごとくあるけれど、後半のつらいところをまた見る勇気がないよね。もう号泣してましたよ…新年は映画で泣いてばかりですよ…。

    またコトリンゴさんの主題歌「悲しくてやりきれない」が良くて、Apple Musicで手に入れてしまったわけなんですが、聴いていると思いだし泣きしてしまいそうに。うう。

 そういえばはじめて戦時中のお話をこんなにも身近に感じることができたかもしれない。教科書やテレビ番組の特集ではとてつもなく悲惨な歴史としてしか観ることができなかったけれど、この映画ではわたしの現実世界となんらかわらない世界なんだということが実感できた。戦時中に食べて笑って恋をして、普通の暮らしを営む人々の姿になぜか涙がとめられない…。

 

    第二次世界大戦中に広島の呉に嫁いだすずのお話なんですが、平和ボケした阿保のわたしはその「戦争」「広島」というワードで誰もが連想するはずの出来事を、物語がいよいよ戦争色強くなってきたときにはじめて、「えっ、まさかこれって…そういえばここ広島じゃね…このまま行けば…」と気づき絶望するという。絶望するのが遅すぎるという。

    もうそこらへんしんどかった…。しんどすぎた…。登場する人たちの笑顔が愛しすぎてみんな幸せになってほしかった…。

 

    すずちゃんいきなり知らない人に結婚の申し出をされそれをそのまま受け入れ嫁入り、というハイスピード展開に、相手知らないひとだしちゃんと良い人なの?!よくわかんないけど水原さんと結婚したほうがよくない?!なんか怖いお姉さんいるんだけどいじめられないよね?!と心配しきりだったけど、そんなのは杞憂でおわり、結婚相手の周作さんはとて〜もよい人であった。安心。お姉さんも気が強くいろんなことを言う人だけど根は良い人で、良いキャラをしていて好きだった。

    すずちゃんと旦那さんが少しずつ恋愛をしていく感じがとてもよかった。現代の我々からするとお見合い結婚とかそういう感じの、恋愛する前に結婚するシステムが理解できないけれど、今回これを観てわたしも、どっかから来た知らない男の人(しかし精悍な青年であれとおもってしまうよね)と結婚することになりぎこちないまま式を挙げるも、一緒に暮らすうちにお互いをしり…という結婚後恋愛をしてみたくもなったのであった。(感化されやすいタイプですので)

    とにかく予告に出てくる防空壕でのキスシーンを見るだけで泣ける。

 

    すずちゃんのぽや〜っとしているところがとてもおもしろくて、でも、ずっとぽや〜っとしたままで(劇中のセリフでもありますが)いてほしかったのに、つらい現実がそれを許さないので、ぽや〜っとしたすずちゃんが時たま見せる激情をみるとつらくなります。

    あと「ありゃ〜」っていう顔がね、もう好きでね。すずちゃんの愛らしさの虜ですよ。広島弁ってかわゆい。のんさんの声のトーンが最高。

 

    ここからネタバレ含みますね。前半は和気藹々と暮らす場面が楽しく、食卓にあがるご飯はどんどん少なく貧しさを感じるものになっていくけれど、食卓が楽しそうで楽しそうで。食卓を囲む姿をみてわたしも旦那さんや家族が欲しいと思いました。結婚…か…。

    しかしどんどん物語は8月6日に向かって進んでいくので、絶望的事実に気づいてからはもうやだやめてと涙が涙が…。というかあの空襲の時限爆弾化した不発弾に晴美ちゃんが奪われてしまう展開なんてもう苦しくて苦しくて…そしてまさかのすずちゃんの右手も失ってしまう。あんなに絵を描くことが好きで、いろんな思い出を作ってきた右手が。ショッキングでした。

 それからまともに会話しないお姉さんとすずの、原爆が落とされる直前にお姉さんがすずに着物をもんぺになおしてあげたりして、すずが泣きながらお姉さんに甘え頼み込むところなんてねえ…こんなのあげていったらきりがないよねえ…。

 終戦後の配給?でアメリカ兵の残飯的なものをお姉さんとすずちゃんがたべておいしそうにしているところとかとてもよい。お姉さんがすずちゃんにさりげなくあ~んしてあげているのもよい。悲しい現実のなかでこういうささやかな喜びや支えあいを見出すのほんとうに最高すぎる。

 

 原爆ですずのお母さんはおそらく亡くなってしまい、お父さんも数日後に病死、妹も放射能の後遺症で寝たきりに。失うものが多すぎて、わたしだったらもう立ってられないと思うよ。周作さんだけはすずちゃんの隣からいなくならないでいてくれてほんとうにそれだけが救い。この世界の片隅にすずちゃんをみつけてくれてありがとうすぎる。

 

 漫画からはしょられている部分もけっこうあるみたいなので漫画を読みたいと思います。がんばるぞ…。とてもよい映画でした。これは2016年に観ていたらわたしの映画ベスト10は違うものになっていたに違いない。

 

 

 

おわり