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Flower of life

映画をよく観てます

感想:「シン・ゴジラ」★★★★☆

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 はじめて怪獣映画を観てきました。受付でチケットを頼むと、「こちらは耳が聞こえにくい方のため日本語字幕がつきますが、よろしいですか?」とたずねられました。「日本語字幕がないものもあるんですか?」ときくと、「いえ、ございません」とのことだったので、「シン・ゴジラ」ってそういうバリアフリー付なんだ~、と思ってそのまま購入したのですが、受付を出て映画のスケジュールが張り出してあるところをみると、なんと今日と明後日のみ日本語字幕付きが上映との記載がありました。

 それならそうと説明してくれれば今日は別の映画を観たのに…!なんて思いつつ、まあいいかと劇場に入りました。広いスクリーンなのにけっこう人がうまっていましたね!

 

 映画がはじまって、おそらく15分くらいはすごくストレスを感じていました。原因は字幕です。日本語字幕だけなら全然、いつも洋画をみているようにすればいいのだし、音声が日本語なんだから読まなくたって平気なのだから無視することだってできるのですが、この「シン・ゴジラ」はその作品自体、たまに字幕で場所の説明や登場人物の名前、肩書などがバン!と白文字ででるのですよ。

 文字が多いときは画面の下のほうはぎっしり文字でうまっているし、全部読んでる暇はないし、日本語字幕というオプションだけ無視して本来の字幕だけ観るというのもなかなか労力が

(以下中略)

 

 とまあそういう感じだったんですが、だんだん、その肩書や登場人物の名前もわざわざ読んで理解する必要もないしそれを求められてもいないとわかったあとは、なんとも思わなくなりました。むしろけっこう難しい言葉、というか聞きなれない用語を使って話をしているときは、サポートにすらなってくれました。まあ用語が表記的にわかったところで、というのはありましたけれど…。

 

 とにかく、とてもよかった!!とてもおもしろかった!!日本映画も捨てたものではない、捨てたものではない!そう思えることがとてもうれしいです。小さい劇場でひっそり上映されているような邦画を観て良い映画だったと思えることも、その出会いももちろんよろこばしいですが、大規模に上映されている邦画がよくできていておもしろいって、とてもそれ自体が希望だなと思います。何をえらそうに、と思われるかもしれませんが、とにかくハッピーな気分になれました。(馬鹿のような感想)

 

 前半がとくに最高に最悪でした。ほんとうにおそろしかったです。わたしは最初ゴジラの映画があるときいて、怪獣とドンパチするのを想像していたのですが、そんなイメージとはかけ離れた、きわめて現実的なお話でした。現実的というのも、実際ほんとうにそうなのかはさておき、怪獣がもし現れたらいきなり出動して攻撃したりするわけないよねっていう。こんな感じで、会議に会議を重ね、手続きを経て偉い人の承認を得てようやく何らかが実行できる。3.11の震災のときも、会議の雰囲気がこうだったかはわかりませんが、こういう段取りで物事が進んでいたのだろうなあと。

 会議のシーンは、なんだか間の抜けた発言だったり、緊迫感があるようでない雰囲気ではじめ進んでいくのですが、その会議の合間合間に挟まれる、現場の状況がすさまじいスピードで、取り返しのつかないおそろしい事態になっていっているのが、とても胸が痛く、「ちょっと!ちょっと!ねえ!」とハラハラした心持ちでした。

 

 海が、ゴジラの通過したところだけ赤く染まっているところは、まだゴジラの姿は見えてはいないのにすごく不安になり、なにかおそろしいことがはじまる予感を感じさせていたのに、そこから上陸するまですごくはやくて、しかもきもちわるい!

 ゴジラはあのゴジラの姿のまま海からでてくるものと思っていたけれど、そうじゃなくて。どういう姿なのかは観てみてください。わりときもちわるいしこわい。なんか首元とかすごくみてて不安になる。

 

 あの「え?動くの?」「生き物ですから…」的なやりとりの間の抜けた感じ笑いました。たまにそういう間の抜けたやりとりがあって、笑えます。

 演技があまりうまくなくても、だいたいの登場人物は会議しているだけなので、そんなに演技の下手さが目立つこともなく、たまに棒読みな人もいたような気がしましたが、会議シーンが多いことでうまく演技力が平均化されていたように思えます。

 演技、ではないですが石原さとみの役柄が、唯一すごく不自然というか、ほかの人はそこらへんの官僚にいそうと思えるのに、なんかそのひとだけすごくフィクション感が強く感じました(笑)

 ルー大柴のようなしゃべり方がすごく気になる。英語で話すときの発音は、たまにめちゃめちゃ下手なひといるけれど、英会話のCM担うだけあってとても自然でした。

 

 はじめは上陸して歩いて街を破壊しているだけなのに、アメリカ軍が攻撃したときかな、はじめてそこで背中からビームのように放射能を出して真上やななめに攻撃をしたり、口から炎をはいたり放射能のビームをだしたりしはじめて、そこで絶望度がぐっとあがりました。いよいよ本格的に意図的に、破壊をはじめだしたことで、そこらじゅう東京が火の海になって、べつに生まれも育ちも東京ではないし思い入れもなにもないのに、涙がでました。このシーンよりも前に一度涙を流していますが、震災とか、原爆とか実際にその場で経験をしたわけではないけれど、日本人として心の奥底でおそろしく思っている、トラウマになっているんだなと自覚をしました。

 がれきの山と化した都市をみると震災を思い出してしまうし、アメリカが核攻撃を仕掛けると決断したときも実際に体験したわけではないけれど再び原爆を落される恐怖を引き出されて、唯一世界で原爆を落とされた国の国民として、震災をつい最近目の当たりにした日本人として、心の奥底でその恐怖を持っているのだなあと、はじめて感じました。

 

 とにかくおそろしかった~。すこしネタバレになりますが、これでやれるか、いけるか、という方法がいくつもゴジラによって完膚なきまでに叩きのめされて、絶望に絶望を重ねたのちに日本人の力を集結して事態を一旦おさめるまでに至るのは、とても物語として爽快でした。

 無人の在来線?電車を爆撃攻撃に使うの、なんかよかったです。なんか日本っぽい。そして冷却するための液体をゴジラの口に流し込む作戦、けっこう画面的に地味なんだけど、それがまた現実的でした。実際にありえるかは置いといて、すごい派手な攻撃や派手な作戦でやっつけるより、観ていて本当っぽくみえました。

 

 とっても満足できた映画でした。たとえ空想でも、日本人はしっかり無力だけれど無力じゃない、と思えたし、「この国はスクラップアンドビルドでやってきた」というようなセリフにすごく胸が熱くなりました。そう、日本は負けても負けない国なのだ。自分の国に誇りすらもたせてくれるこの映画、必見です!

 

 

おわり