読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

わたしたちに明日はない

映画をよく観てます

感想:「バッファロー’66」★★★★☆

映画


Buffalo 66' Blu-ray Trailer - YouTube

 

 はじめはいらいらしながら観ていたけれど、気づいたらそんないらいらはいつのまにか失せていて、ただ主人公を見守るようにして手を握り締めていました。これは映像の美しい純愛映画です。

 

 主人公がとても自己中心的で口が悪く態度が横柄。偶然女の子に出会ったときから乱暴で自己中心的な態度にずっといらいらしていました。いきなり初対面の女の子に暴言を吐いたかと思えば、ころっと態度を変えて電話代を貸せという。女の子はたやすくお金を渡しちゃうし、主人公はその電話で親についた嘘(自分には長年連れ添った妻がいる)をつきとおすために、力ずくで女の子を攫うのですが、その間ずっと女の子が主人公に全く抗わずに素直に従うことにもいらいらしてしていました。主人公はちょっとまぬけだから、スキをついて逃げようと思えば逃げられるのに、決してそんなそぶりはなく従順に従うものだから。

 廊下ではじめて主人公に出会ったときに、そのまま通り過ぎずに引き換えしてきたくらいだから、きっと女の子は彼に何かを感じていたのでしょう。それから彼の発言や行動にすこし反発しながらも大きな抵抗はなく。ファミレスで喧嘩しそこではじめて彼女が彼についていくことをやめたのは、きっと彼が長年好きだった人が現れてその女がどうしようもない性悪女でかつ主人公はそれでも最高の女だと言うことに嫉妬やらなんやらで怒ったのでしょう。その幼い外見とむくれてココアをひとりで飲んでいる姿はかわいらしさの塊でした。

 前半では女の子を主人公の実家へ妻として連れて行き、家族で食卓を囲むのですが、そこでは主人公がいかに愛されてこなかったか、この家族がいびつなものであるかが物語られます。主人公がこういう性格になってしまったのはこの生い立ちのせいなんだなあとわかるのですが、女の子のバックグラウンドは全く物語られることはありません。けれども、この主人公に惹かれてうそだってぺらぺらとつけちゃうし、知らない男に連れまわされても平気な顔をしているし、彼女もきっと同じように孤独な環境にあったのでしょう。

 

 印象的だったのはクライマックスのシーン。ネタバレ含みます。自分の人生はこいつのせいで狂ったんだと思い込み、復讐をはたそうとストリップ小屋に乗り込むシーン。ドキドキを増長させるイエスの楽曲がBGMとして流れていて、それが強烈で鮮烈でした。

 主人公はポケットに忍ばせた銃で復讐を遂げようとするのですけれど、自分が復讐を終え自害したところで、自分の両親は自分を思って泣いてくれることはなくいつもと変わらない態度で墓の前から去るだろうと思うとばかばかしくなったのか、踵を返して店を出るのです。彼にとって親がどれだけコンプレックスなものだったんだろう。

 愛をくれる与える対象として彼には親しかいなかったけれど、親をたよらなくたってもう彼には無償の愛で包んでくれる女の子が隣にいてくれる、という変化が彼を踏みとどまらせた!彼は帰りにクッキーとでかいココアをウキウキで買って帰る、というラストで終わります。あまりにもいままでの彼とうってかわった性格と行動だったので、てっきり女の子か主人公の死亡フラグかと思って無駄に汗かいてしまいました。

 

 独特の映像、編集、とても美しく、ふたりの関係も荒く美しくよく撮れた映画だと思いました。ラブストーリーもたまにはいいなと思わせてくれます。ヴィンセント・ギャロ監督万歳!

 

 

おわり