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Flower of life

映画をよく観てます

カフカの「変身」を読んだ

 

通勤時間はなるだけ本を読むようにしはじめました。そして先日フランツ・カフカの「変身」を読了しました。あらすじは、ある朝目覚めると主人公が気持ちの悪い巨大な虫になっていた!というものなんですけれど、わたしはなんでこのようなあらすじの本を手にとってしまったのでしょうか。大学の購買で手にしたのは覚えています。

なかなか読み進めずにいたのは、ほかならぬその設定に一因があると思います。なぜならわたしは虫が嫌いだからなのですよ。それもただの虫、であればさほど気にしないですむのに、褐色で斑点模様の虫なんですよ。それも巨大な。これはもう気持ち悪いとしかいえない。

さっき軽い気持ちでこのブログにはりつけるための「変身」の表紙画像を検索したらふつうにムカデの写真とかもまざっていてすぐ閉じました。いや、主人公が変身した虫というのはムカデではないんだけどね。甲虫みたいな感じだよねおそらく。でも後ろふりかえったりできるならムカデみたいな感じなのかもしれないんだけど、それだったらほんとうに気持ち悪さに拍車がかかってあの家族の対応もうなずけてしまうかもしれない……。しかし実際にその虫がどういった類の虫なのか、ということを推測断定することはカフカの望むところではないみたいです。

 

 

淡々と主人公が虫に変身してしまった日からのことがつづられています。ほんとうに淡々としていて、おそらくそうなってしまったらかなり狼狽え毎日なぜそうなってしまったのかと鬱々とした日々を過ごす様子があってもいいはずなのに、そういった描写はあまりなくて、ただじめじめと淡々と、日々が過ぎて行きました。

どうして虫に突如変身してしまったのか、ということはこの主題には直接関係がないためにあまり描かれないのでしょうか。とにかく虫の主人公とそれに対応する家族の態度だけが描かれます。途中までわたしはそれの理由が明かされるものと思い込んで読んでいたので、途中で明かされないんだろうなと薄々感じ始めてはいたものの、結局そのまま結末をむかえてしまったのですこし唖然、わたしは理由が明かされる系の物語のほうがタイプなのかな~と思ったり。まあそれなりにフムフムと読めはしましたが、あまり肌にあう文体でなかったのか、今読み始めたばかりのカミュ「幸福な死」のほうが続きが気になっているような次第ではあります。

 

それでもやっぱり傑作ですから、おもしろいことにはおもしろかったですよ。最後まで読んでみてはじめておもしろい、と思える類のものでした。ではラストのネタバレいきますね。

 

ラストはわたしにとって唐突でした。だんだん彼が弱ってきていることはわかっていました。けれどまさか衰弱してか飢えてかわかりませんが死んでしまうなんて。しかし彼にとってそれは絶望や悲しみに結びつくものではなかったようで、それが幸いなのか不幸なのか。

家族は彼に対して結末に向かうにつれどんどん冷たくなり、時折血のつながりのある家族たる優しさをみせたりするのに、ラストでは呪縛から解放されたといわんばかりの様子で。たしかに巨大なおぞましい虫が自分たちの人生の足を引っ張っているとなるとストレスにもなるのでしょうけれど、その虫はもともとは自分たちの暮らしを支えてくれていた息子、兄であるのだから……という複雑な気持ちになるラストでした。

 

こういうのもたまにはいいけれど、やっぱり描写が冴えた、語彙豊かなものを読んで景色を想像できるような物語のほうが好きだなあと思いますね。そういうものを読んで豊かな心と豊かな語彙力を身に着けたいです。

 

 

おわり