わたしたちに明日はない

映画をよく観てます

感想:「パンズラビリンス(Pan's Labyrinth)」★★★☆☆

 
    ファンタジー系はあまり観ないのですが、知り合いにすすめられたので、今回「パシフィック・リム」と同じ監督の作品、「パンズラビリンス」を借りてきました。
    とりあえず途中2回くらい観るのやめようかと思ったんですけど、踏ん張って最後まで観て結果良かったです。映画は平均2時間捧げさえすれば、様々な体験をさせてくれるので好きだな。
 
 パッケージから勝手にファンタジーだと思っていたのだけれど、そういう構えで観ると面食らうような内容でした、面食らいました。ダークファンタジーです(ツタヤではなぜかSFコーナーにあった)。
    
 スペイン内戦下で父親を亡くし、母親と再婚相手の元へ越してきた読書好きの少女が主人公。新しい父親は軍を指揮する偉い人で、森に潜む反乱軍的な奴らを全滅させるべく森の中に陣を取っており、そこに無理矢理連れてこられた少女はもちろん友達もなく加えて父親のことも嫌いで、心細いあまりにどんどん自分の空想の中に入り込んでいってしまうという話です。
    まずこの時点で暗いですよね。加えて父親は冷酷非道な人間であり、その少女のことはおろか結婚した少女の母親のことすら気にかけておらず、むしろ子供さえ産んでくれればいいというくらいにしか思っていません。結婚したのも息子が欲しかったというだけの理由でしかないのだろうという。これが改心するのかというと最後まで改心するわけでもないので、余計こいつのせいでストーリーが重くなっていきます。
 
 まず観るのをやめようとしたポイントは最初のシーンで、少女が落ちていた石を祠みたいな岩の窪みにはめるというシーンがあるのですが、そういうのってよく石がはめ込まれると穴からファーって光が溢れるものじゃないですか。それがここでは穴からナナフシみたいな虫がブンッ!て、しかもこちらに向かってとびててくるんですよ。きもすぎません?ほんとに叫びました。そいつが今回の物語の案内人的役割をもったやつなんです。
 それからけっこう飛び回る飛び回る、それもまるでこちらを気持ち悪がらせるのを意図してやってるかのような動きなのでなおさら気持ち悪い。ふつうこういうのってかわいいルックスの妖精じゃないですか、なんでナナフシみたいなカマキリみたいな虫なんですか。きもすぎません?
 
 少女がこの環境が嫌で空想と現実の区別がつかなくなりだすと、パンという牧羊神?が登場。少女を地底の王国の姫だと言い、しかしそれを確かめるために3つの試練を受けてもらうといいます。このひとつめの試練が観るのをやめようと思ったシーンその2です。
 大木に住み着くカエルにこれを食わせてこい、という試練で大木の割れ目から内部へ潜り込んでいくんですが、そこにはダンゴムシがゴキブリサイズになった虫がウヨウヨいて、それが少女オフェリアの体に這い回るんですよ。きもすぎません?オフェリアは全然嫌がる素振りも見せずに這わせたままにしたりするのが不思議でたまりません。子供だからあんまりきにしないのかな?
 そして奥でまちうけるオフェリアよりもでかいカエル。わたしはカエル嫌いではないのでここでは平気なんだけど、このあとカエルに石を食わせてカエルがゲロるときのゲロ?みたいなやつが気持ち悪すぎてもう大木に入ったあたりから最後まであんまり画面直視できませんでした。なんとか耐えて最後まで観たんですが、最後まで観て良かったと最終的に思いました。良い映画です、勧めてくれた知人サンキュー。
 
 そして有名な?トラウマキャラのペイルマン先輩はほんとうにトラウマになるかとおもいましたが、後から思い返すと真似したくなるくらいにキャラ立ってて良かったなって感想になってます。今思えばもっと全力で走って追いつけや、ってね。追いかけ方が滑稽なキャラでした。見ているときは手に汗にぎってハラハラしましたけれど。
 
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 かわいい。
 
 3つの試練のシーンがメインと思いきや、そういうファンタジー要素よりも戦争の重いシーンにけっこう比重がおかれていて、個人的にはちょうどいい塩梅でした。映像も綺麗で、オフェリアもかわいい。
 
 ラストのネタバレに入ります。ふつうのファンタジーであれば絶対そうはならないであろう形のキャラや物がたくさん登場し、ウウッとなりながらも最終的にオフェリアは試練のため父親にはじめて歯向かう形になり、父親から産まれた弟を取り上げ逃げてパンが待つ王宮の入り口まで走っていきます。母親は弟を産むかわりに死に、なついていた父親の召使いの女も砦から逃亡、オフェリアに残されたのは弟と空想の中の王国だけ。
 オフェリアはパンと合流、パンに最後の試練の仕上げとして弟の血を流させることを要求します。オフェリアは自分の唯一の家族を、守るべき自分の弟を傷つける、失うことを拒み、パンは激昂。試練は失敗におわり、追いかけてきた父親に殺されてしまいます。
 しかしその弟を守る選択こそが最後の試練の正解であり、パンや王国の王様などに光溢れるなか祝福され迎えられる。ここがもう苦しい。死んでしまってもなおオフェリアは自分を正当化する空想のなかへ逃げ込む、という。悲しすぎます。この子にはこの映画がはじまってからひとつもいいことが起きていない。お母さんといるときだけ安堵できていたものの、途中からそのお母さんでさえ失ってしまう。静かに悲しい映画でした。
 
 
 お話の構造自体はたいへんおもしろかったんですが、虫やらなんやらが気持ち悪かったので☆3つ。そんな点数のつけ方ってアリ?ナシでしょ!といわれたら4になる、そんな感じです。
 
 
 
おわり