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感想:「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(The Imitation Game)」★★★★★


映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』予告編 - YouTube


    さて、個人的に今年ベスト候補のひとつである「イミテーション・ゲーム」の感想を、コンパクトかつエレガントにおさめたいとおもいます。

 音楽は「グランド・ブダペスト・ホテル」や「ムーンライズ・キングダム」と同じ方が担当されており、非常に素敵な音楽です。つねに、素晴らしい映画は素晴らしい音楽を携えているものですね。これもピアノで完コピしたい。


    今回の映画も実在の人物の半生を描いたもので、わたしはラストの字幕が出るまで彼がコンピューターの父とは知らずに観ていました、恥ずかしい。知らなかったからこそ余計に最後の字幕で鳥肌が立つほど興奮したというのもあります。


    またもや戦争の時代のお話なんですが、彼の独白にはじまり、ドイツ軍の極めて読解の難しい、というか不可能といわれていた暗号エニグマに挑む、というものなのですが、その設定がけっこうアツいですよね。絶対解読不可能と言われた暗号に立ち向かう!という。

    わたしがなぜこの映画が好きかというと、天才的頭脳をもった主人公アラン・チューリングの暗号解読奮闘記、みたいなていでいて、実はアラン・チューリングの人間の部分が一番のテーマになっている、という一貫した作りになっているのが最高に最高なのですよ。

    この映画のオススメなところはそういった、暗号解読を成し遂げるエンタメ的な要素と、アラン・チューリングという人間にスポットを当てるヒューマンドラマ的要素のふたつで構成されているところです。一粒食べて二度おいしい。

    彼は天才で変わり者なので、学校でもいじめの対象だったのですが、唯一の友達クリストファーだけが彼の心の拠り所であり、彼に素敵な言葉を贈るわけなんです。「誰も想像していなかった人が想像もできないような偉業を成し遂げることって、よくあるんだ」というようなセリフを、アランを励ますために言うのです。字幕だとちょっと吹き替えと違っていて、わたしは吹き替えで観たからか吹き替えのほうのセリフのほうがグッと来るなと思ったんですが、正確にどういったセリフだったか忘れてしまいました。

    このセリフは劇中で三回登場します。大好きです。とくに三回目が、たいへん救いのある言葉として倍の力で彼を一時的にでも救う言葉として別の人物からかけられているシーンが、個人的にこの映画のクライマックスでした。


    もちろん、暗号解読に勤しむという部分も大いにワクワクし、その作業が完結を迎えるのも大興奮な展開でした。作業が完結してもなお終わらない困難のもうひと山には、その様々な残酷さに苦しい思いもしました。

   ( わたしは最近映画で戦争に触れることが多く、教科書で学ぶ以外ではじめて自分から関心を持って観ていろんなことを感じているわけなんですが、しかしわたしは戦争をほんとうの意味では知らないし理解をしていなくて、複雑な感情をぐるぐるぐるぐるさせた結果、「戦争はしてはいけない」「戦争がない時代でよかった」という阿呆のようなコンパクトな感想に落ちつくのですけれど、戦争にふれる映画を観ずにいたころよりは、ずっと戦争というものについて意識するようになりました。良いことだ。)(たとえば「グラン・トリノ」とか、最近でいえば「アメリカン・スナイパー」)(いずれも馬鹿の一つ覚えのようにイーストウッド)(ほかにもなにかあったはずだけど思い出せない)


    ここからネタバレ入ります。その前にわたしが好きなシーンとしてヒューが女性を口説くシーンを挙げておきます。かっこよすぎます。ちょっとクサいかな、というくらいが外国人ってちょうどいいよね。わたしは往々にして物語の主人公よりその友人を好きになる傾向があるみたいです。その友人がノッポだとなおヨシ。「博士と彼女のセオリー」ではブライアン、「風立ちぬ」では本庄、みたいなね。

   そこで暗号解読につながるヒントを得るっていう激アツな展開もとても燃えましたね。テンポも良くてなお最高。解読に至りみんなで抱き合う。そこで椅子に座っていた彼も仲間とようやく抱擁するところも、最高にグッときました。(わたしの語彙のなさがそろそろ露呈してきた)(とりあえず良かったと思ったら「最高」「グッときた」と言ってまわる式映画レビュー)

    彼は尋問を受けるなかで、我々に問いかけをしていました。わたしは、仲間の兄と戦争に勝つことを天秤にかけ即無常な決断をした彼だけれど、はたしてコミュニケーションが苦手で人と違った感覚を持つ天才数学者の彼は機械や怪物かというとそうじゃないと断言できます。彼は機械や怪物なんかではありません、ありませんとも。

   彼は同性愛者であり、クリストファーのことが好きで思いも告げようとしていたけれど、クリストファーは彼に黙っていた病気のせいで彼が想いを告げる前に亡くなってしまいます。それはどれだけ彼を突き放し、彼をより孤独に追いやった出来事だったか。

    彼はそれを引きずり、暗号解読機にクリストファーという名前をつけて異常なほど離れたくないという気持ちを持っていたし、ラストのほうで同じ暗号解読チームの一員であり一時は婚約もしていたジョーン・クラークに向かって、ひとりになるのが怖いと吐露するシーンがありましたが、胸が潰れそうでした。わたしが一緒にいてあげるよ!!!と駆け寄りたくなるほど彼は衰弱しきっていました。

    そんな彼に彼女がかけた言葉が前述のセリフです。これはクリストファーがはじめに彼にかけた言葉であり、それを女性差別的社会の中でさまよっていたジョーン・クラークに彼がかけた言葉であり、巡り巡ってふたたび彼女が彼にかけてあげた言葉なのでした。彼にとってそれがどれだけふたたび救いになったか。結局彼はその1年後か2年後に自殺をしてしまうんですけれど、その二度かけられた言葉は彼の人生を二度救ったと思います。

    彼の功績で終戦ははやまり、たくさんの人々の命が救われたというテロップが流れ、最後、それは今日コンピューターと呼ばれている、というようなテロップでの締めが最高に込み上げるものがあるラストでした。

    暗号解読に関しては50年ほど国家機密として公表されずにいて、最近になってやっとアラン・チューリングの功績を公にし、改めて表彰しているそうですが、この映画を製作することによって彼の苦悩や人生、そして功績を広く知らしめることは、それこそ多大なる功績であり大きく苦しんだ彼への供養にもなるんじゃないかと思います。





    「アメリカン・スナイパー」の感想のようにコンパクトにかけなかった!やっぱりiPhoneからだと推敲するのが面倒でいろいろ怠ってしまいます。そして「博士と彼女のセオリー」の感想にますます納得いかなくなってきました。あらすじを追いはじめたのがそもそもいけなかった。週末お家に帰ったら書き直したい所存。三回目観たしね!





おわり