わたしたちに明日はない

映画をよく観てます

感想:「アメリカン・スナイパー(American sniper)」★★★★★



    クリント・イーストウッド最新作観てきました。現在80歳超えのおじいちゃんがいつまで映画を製作してくれるかわからないので、今観れるうちに劇場で彼の映画を目撃せねばと思い無理やり都合を合わせて映画館に行ってきました。
    結論から言うともう二度と観たくはない映画であり、やっぱりさすがイーストウッドと言うべき人間心理描写の素晴らしい映画でした。劇場で観れてよかったです。ただほんとうにきつかった。
    気になるな〜ってひとは予告編観てみてください。個人的に最近のなかでは風立ちぬばりにいい出来の予告編だと思います。風立ちぬは最高に掻き立てられる系だったけど、こっちはめちゃめちゃ気になる作りになってます。

    なぜきつかったかというと、わたしがはじめて戦争映画を観たからきつかったというのと、主人公の孤独感がどんどん色濃くなっていく様が見るに耐えない状況まで陥っていくのが、途中で観るのやめたい、もう終わってくれよと思うくらいにきつかったです。途中の銃撃戦は目をつむっていたりもしました。戦争がない時代に生まれてよかった。これからもそうである保証は全くありませんけれど。


    この映画は戦争アメリカ万歳モノなのかはたまた反戦映画なのか、という論争が巻き起こっているらしいですけれども、あれを観て戦争最高!アメリカ超クール!ってなる人いるのかしら?あれで最高な気分になる人いるのかしら?わたしは正直最低な気分になりましたよ。それとあわせて、こんなに重い気分にさせてくれるこの映画はとてつもなく優れた出来だ……!という高揚感とない混ぜになって変な気分になり、ちょっと汗かきました。


    戦場にいていつも心が晴れない、晴れるわけがない様子を見せる彼をみていても辛かったし、帰国して家族のもとにいてもなお誰とも感情感覚を共有し理解しあえない孤独な彼を観るのもことさら辛かったです。だって彼の愛する家族と一緒に平穏な地にいるんだから、彼は安心して心安らぐはずなのに、そうはなれていなくて、むしろ奥さんと会話を重ねる度に心が離れていっているようで、家庭にいるときのシーンのほうが涙出ました。
   英雄と讃えられれば讃えられるほど孤独を深める彼の姿をみて、はやくこの映画終われよ見てられんわ!って目を覆いたくなります。覆いました。


   映像に関してはライバルスナイパーとの対決で、銃を撃った後に変なCGでスロモーション映像になったときは正直ダサいなと思ってしまいましたが、それ以外はすごく迫力のある映像で、家庭のシーンとの対比に効果的だったと思います。迫力ありきちんと戦争感が出ているからこそ観てられなかったよ。虐殺者が子供をエイッ!エイッ!とやるシーン(古風な擬音を使うことでショッキングな感じを軽減)は吐きそうでした。お昼ごはんを食べ過ぎたというのもありますけれど。
    だんだんネタバレに入りますね。その一応エンタメ的な盛り上がりどころ、ライバルスナイパーとの対決が終わった後、泣きながら奥さんに電話をするところで涙溢れてとまらなかったんですが、そこでわたしはこの映画終わりか〜と、勝手にクライマックスだと思っていたんですが、その後けっこう続いたので、ここで終わってもよかったくね?とも思いましたけれど、その後の家族とのやりとりや元兵士のシーンの存在を思うと、蛇足ではなく必要な後日談、ラストシーンだったんだなとも思います。


    その後順調に孤独をますます深めたクリス・カイルはPTSDになってしまい、どこにいても戦争にとらわれてしょうがないという状態になってしまうのですが、なんやかんやで克服?をし、奥さんにふざけて銃口を向けるまでになったんですが、ここわりと怖かったんですけど。説明しろといわれてもできないんだけど、感覚的に怖かったです。そこまで銃を軽く扱うようになっちゃっていいの?って。回復した証拠なのでしょうか。なんだかあんまり喜べはしませんでした。なんでかはわからないけれど。
    そして元兵士が訪ねてきたとき、その兵士の不穏さ不気味さがとんでもなくって、「あ、これはこいつにいまから殺されるわ」と瞬時に悟りました。下手なホラー映画より怖かったです。


   実際の追悼式の映像と無音のエンドロールは、わたしたちにこの映画をさらに突きつけてきているようにおもえました。あの無音のエンドロールが流れる映画館内の緊迫感ははじめて味わったかもしれません。なかなか席を立つ人はいませんでしたし無駄な声をあげるひともいませんでした。もともと最終上映ということで人が少なくもあったんですが。




    やっぱりもう二度は観たくないけれど、観てほんとうによかったです。こういう体験はわたしの暮らしを豊かにしてくれる!映画ってやっぱり映画館で観るものだ!とベイマックスを映画館で観たときとはまた違った感覚で感じましたね。これからひとりでも映画館に足を運ぼう。つぎはあれが観たいよね、「セッション」?






おわり